第5章・お客さんアルアル

5-1 見積り・契約のあるある
① 契約金額を見て、敷地内の物がすべて撤去されると思っていた
☛正解は「見積書に記載された工事範囲まで」です。
建物のほかに物置・塀・庭木・庭石・家財などがある場合は、それぞれ撤去対象になっているか、契約前に確認しておくことが大切です。
② 「一式」と書いてあったので、何でも含まれていると思っていた
☛「一式」は「全部」という意味ではありません。
どこからどこまでを一式としているのか、その内訳を確認することが大切です。分からない項目は、契約前に業者へ説明を求めて構いません。
③ 坪単価を掛ければ最終金額になると思っていた
☛坪単価×坪数=最終的な解体金額、とは限りません。
建物の構造、基礎、立地、重機の入りやすさ、廃材、付帯物などで費用は変わります。坪単価は目安として考え、最終的には現地確認後の見積金額で判断します
④ 電話だけで正確な解体金額が出せると思っていた
☛電話だけで正確な解体金額を出すことは難しいです。
建物だけでなく、道路幅、隣家との距離、庭、家財、塀などを現地で確認して、初めて実際の工事条件が分かります。電話では概算、正式な金額は現地見積り、と考えるのが基本です。
⑤ 契約後でも簡単に工事を取りやめられると思っていた
☛契約は「とりあえず押さえておく」ためのものではありません。
消費者を護るクーリングオフとは、すべての契約を無条件で取り消せる制度ではありません。クーリングオフは、訪問販売など法律で定められた取引や要件に該当する場合に適用される制度です。「やっぱりやめます」は何の負担もなく契約は解消されると考えるべきではありません。契約前に工事内容・金額・解約条件まで確認し納得してから契約することが大切です。
※訪問販売など、契約の経緯によってはクーリングオフが適用される場合がありますが、一般的にはクーリングオフは適用されないケースが多いため注意が必要です。【※・本ページのクーリングオフをお読みください】
5-2 準備・手続きのあるある
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① 家を壊せば、登記も自動的に消えると思っていた。
☛建物を解体しても、登記簿から建物が自動的に消えるわけではありません。
解体後は「建物滅失登記」が必要です。原則として建物がなくなった日から1か月以内に申請します。解体業者から必要な書類を受け取り、忘れずに手続きをしておきましょう。
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② 親の家だから、自分一人で解体を決めても問題ないと思っていた。
☛「親の家だから壊せる」とは限りません。
まず確認するのは、その建物の所有者です。相続後で複数の相続人が関係している場合や共有名義の場合には、自分一人の判断で解体すると後から問題になることがあります。契約前に登記名義と権利関係を確認しておくことが大切です。
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③ 浄化槽や便槽のことまで、解体前に伝える必要があるとは思っていなかった。
☛ 浄化槽や便槽は、建物とは別に確認しておきたい重要な設備です。
特に古い家では、使われなくなった浄化槽や便槽が地中に残っていることもあります。「昔は汲み取りだった」「途中から下水道に変えた」など、分かっていることは見積りの段階で解体業者へ伝えておきましょう。
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④ 郵便物の転送や住所変更は、解体してからでも間に合うと思っていた。
☛・家を壊しても、郵便物や各種契約の住所まで自動的に変わるわけではありません。郵便物の転送のほか、保険、金融機関、通信関係など、旧住所のままになっているものがないか確認しておきましょう。解体前に「この住所を使っているもの」を一度洗い出しておくと安心です。
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⑤ もう誰も住んでいない空き家だから、電気や水道は当然止まっていると思っていた。
☛空き家になっている事と、ライフラインの契約が停止されていることは別です。長年使っていない家でも、契約や設備がそのまま残っている場合があります。特に水道は解体工事の散水に使用することがありますので、自己判断で先に止めず、現在の契約状況を確認して解体業者と打合せしておきましょう。
5-3 工事中のあるある
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毎日職人へ差し入れをしなければならないと思っていた。
☛差し入れは必要ありません。
お茶やお菓子などの差し入れは、あくまで施主の気持ちによるものです。毎日用意する必要もありませんし、差し入れの有無によって工事内容が変わることもありません。どうぞお気遣いなく。
② 契約通りの日数で工事は終わると思っていた。
☛契約時の工期は通常は期日ですが、現実には予定であり、必ずその日数で終了するとは限りません。
酷暑、降雪などの悪天候、予想外の埋設物、追加工事、処分場の受入状況など、工事開始後に工程が変わることがあります。変更が生じた場合には、理由と新しい予定を業者に確認しておきましょう。
③ 工事中でも敷地内を家族なら自由に出入りできると思っていた。
☛工事が始まると、施主・家族・親族を含め工事現場(工事区域)は
「立入り禁止」となります。
重機の旋回、建物や資材の倒壊・落下、釘やガラスなど、解体現場には多くの危険があります。「自分の家だから」「家族だから」は関係ありません。着工後は許可なく現場へ立ち入らないことが原則です。
④ 家のごみや、片付けたい物を工事途中の現場へ持ち込んでたが、・・・業者から注意を受けた。なぜダメなの?・・・一緒に処分してもらえると思っていた。
☛ 工事が始まってから、家のごみを現場へ持ち込むことはできません。
解体工事で発生した廃棄物と、家庭から持ち込まれたごみは同じ扱いではありません。「トラックで処分するから一緒に」と考えず、処分したい物がある場合は工事前に業者へ相談しておきましょう。
⑤ 工事中に業者から携帯に連絡があったが「忙しかった」・・・「後で連絡しようと思って忘れていた」。しかし問題はないと思っていた・・・。
☛工事中の業者からの連絡には、できるだけ早く折り返してください。解体工事では、地中から古い基礎、井戸、浄化槽、配管、廃棄物などが見つかったり、残す物と撤去する物の確認が必要になったりすることがあります。
このような場合、発注者の確認や承諾を得ないまま、業者が勝手に撤去や追加工事を進めることはできません。そのため、連絡が取れるまで、その部分の工事を中断する場合があります。法律に「業者からの電話へ何時間以内に折り返さなければならない」と定められているわけではありません。しかし、業者から判断を求められていることを知りながら応答せず、そのために工事が中断した場合には、契約上の協力義務(協力義務違反)が問題となることがあります。
また、発注者側の事情により、次のような費用が実際に発生する場合があります。
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重機や作業員の待機費用
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重機・車両の再搬入費用
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作業員や処分場の再手配費用
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工期変更に伴う追加費用
ただし、電話に出なかっただけで、自動的に追加料金が発生するわけではありません。契約内容、中断の理由、連絡状況、実際に発生した費用などを確認し、発注者と業者が協議して決めることになります。
すぐに電話できない場合でも、「着信を確認しました。○時頃に連絡します」と短いメッセージを送るだけで、工事の長時間中断を防げる場合があります。
追加工事、撤去範囲、工期、費用について決めた内容は、電話だけで終わらせず、メッセージや書面でも確認しておくことが大切です。
※建設業法は、地盤、地下埋設物、周辺環境など、工期や請負代金に影響する事情を発注者があらかじめ知っている場合、契約締結前に業者へ必要な情報を提供することを求めています。工事中に新たな支障物が発見された場合は、主に請負契約の内容に基づき、工事範囲、工期、追加費用について双方で協議することになります。
⑥ 現金や貴金属などが出てきたらどうなるのか。
☛現金や貴金属などが見つかった場合は、工事業者は勝手に処分せず施主へ連絡・確認するのが基本です。
ただし、解体工事では大量の廃材を重機で扱います。すべての物を発見できるとは限りません。現金・通帳・印鑑・貴金属・重要書類などは、必ず着工前に確認して持ち出しておくことが大切です。
⑦ 感染症や悪天候などで工程が変わる可能性を考えていなかった。
☛解体工事には、予定通り作業できない日があります。
大雨・強風・大雪などで安全が確保できない場合や、作業員の感染症などで人員を確保できない場合には、工事を中断・延期することがあります。無理に予定を守ることより、安全を優先して工程を変更する場合があることをご理解ください。
5-4 追加工事・埋設物のあるある
① 地中から何か出てきても最初の金額のままだと思っていた。
☛ 見積りの時点で確認できない地中埋設物は、別途費用になる場合があります。
旧基礎、無申告の浄化槽、廃棄コンクリート、廃瓦、廃材などは、建物を解体して地面を掘って初めて見つかることがあります。発見された場合は、何が・どのくらい出たのかを確認し、撤去方法と追加費用の説明を受けてから工事を進めることが大切です。
② 庭石や塀も当然建物解体に含まれていると思っていた。
☛ 建物の解体費に、敷地内のすべての撤去費が含まれているとは限りません。
庭石、ブロック塀、門柱、樹木、物置、土間コンクリートなどは、建物とは別に見積られることがあります。「これも撤去してほしい」という物は、見積りの段階で一つずつ確認しておきましょう。
③ アスベスト関係の確認や処理が別の問題になるとは知らなかった。
☛ 現在の解体工事では、アスベストの事前調査(法定調査)が法律で義務付けされています。
調査の結果、アスベストを含む建材が確認された場合には、通常の解体とは異なる方法で除去・処理する必要があり別途費用が発生します。見積書の中で「事前調査」と「含有していた場合の処理」がどうなっているか確認しておきましょう。
④ 解体後は何もしなくてもきれいな更地になると思っていた。
☛ 「建物を解体すること」と「敷地内を全部きれいにすること」は同じではありません。建物と基礎を撤去して整地しても、契約に入っていない庭木、庭石、塀、舗装などは残ることがあります。解体後にどのような状態にしたいのかを、見積りの段階で業者へ伝えておくことが大切です。
⑤ 壁や天井の中の断熱材など、見えない部分を考えていなかった。
☛ 建物には、壊してみなければ分からない部分があります。
壁や天井の内部には、断熱材、二重壁、増改築部分など、外から確認できない材料や構造が隠れていることがあります。見積り時に確認できなかった物が出た場合には、追加費用が発生する こともあります。
⑥ 追加作業が必要になっても追加費用は払わなくてよいと思っていた。
☛ 契約に含まれていない工事を追加すれば、当然、追加費用が発生する場合があります。
ただし、何でも後から追加請求されてよいという話ではありません。追加工事が必要になった場合は、「なぜ必要なのか」「いくら掛かるのか」を確認し、納得してから工事を進めてもらうことが大切です。
5-5 近隣・解体工事あるある
① 工事車両の駐車場所まで考えていなかった。
☛ 解体工事には、発注者にご確認・ご対応いただく事項があります。
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隣地、敷地への立入り承諾
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境界の確認
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駐車場所の確保
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必要な道路使用等へのご協力
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近隣との調整
これらの条件が整わない場合は、安全上・法令上、工事を開始できないことがあります。
② 境界は解体業者が判断してくれると思っていた。
☛解体業者が土地の境界を決めることはできません。
境界が分からないまま塀・フェンス・樹木などを撤去すると、隣地の所有物まで壊してしまうおそれがあります。境界が不明な場合は、工事を始める前に土地所有者側で確認し、必要であれば土地家屋調査士などへ相談することが大切です。
③ 近所への挨拶は必要ないと思っていた。
☛ 解体工事では、工事前の近隣挨拶はとても大切です。
どれだけ注意して工事をしても、騒音・振動・粉じん・工事車両の出入りを完全になくすことはできません。突然工事が始まるのと、事前に説明があるのとでは近隣の受け止め方も違います。工事日程や内容を事前にお知らせしておくことが、近隣トラブルの予防につながります。
④ 見積書の有効期限が過ぎても、工事価格は変わらないと思っていた。
☛見積書には有効期限があります。有効期限内であっても、受注状況や工事予定により、ご希望の時期に着工できない場合があります。また、有効期限を過ぎた場合は、工事価格や施工条件を改めて確認し、再見積りとなることがあります。
⑤ 建物を壊した後の固定資産税など、解体後のことを考えていなかった。
☛「古い家を壊せば固定資産税も安くなる」とは限りません。
住宅が建っている土地には、住宅用地に対する固定資産税等の特例があります。建物を解体すると建物分の税はなくなる一方、土地についてこの特例が受けられなくなり、翌年度以降の土地の税負担が大きくなる場合があります。 解体前に市町村の税務担当窓口へ確認しておくと安心です。
⑥ 解体工事予定の家まで来てもらった工事業者から下のお名前も・・・と訊ねられ不愉快だった。なぜ姓名を言わないといけないのか!。
☛業者が確認したいのは、お名前そのものではなく、ご本人であること、建物所有者との関係、そして解体工事を依頼する権限 の有無です。
解体工事は、他人の建物を勝手に取り壊すことのできない工事です。そのため、所有者本人か、ご家族・相続人・代理人など正当な権限をお持ちの方かを確認する必要があります。
姓名や所有者との関係をお尋ねするのは、詮索ではなく、適法に工事を行うための大切な確認です。